vol. 1
「JINBO MINAMI AOYAMA」 オーナーシェフ 神保佳永氏

日々真摯に食材と向き合い独自のスタイルで美味しさを創造するリーダーシェフの思考・料理・感性から学びを得る、料理のプロフェッショナルに向けたマスタークラス『PASTA MASTER CLASS by DE CECCO~My Story Pasta 自分を語るパスタ~』。第1回目は創造性豊かに自分らしいイタリア料理を提供している「JINBO MINAMI AOYAMA」シェフ 神保佳永氏をリーダーシェフに迎えました。

〜 この記事はこんな方におすすめ 〜

  • DE CECCOの魅力、可能性を知りたい。
  • 一流の料理人の考え方・感性・調理技術を学びたい。
  • 自身の料理をさらに向上させるヒントを得たい。

― 神保シェフの料理人人生を語る上で、欠くことのできない土地はどこですか?

神保シェフ(以下敬称略 神保)南イタリアに位置するプーリア州です。 紆余曲折はありましたが「まずはフランス料理を学べ」というイタリア料理店を営む父の教えに従い料理人の道に入りました。1999年からの渡仏中に父が他界しましたが、家族の同意を得て帰国を延期。イタリア料理を学ぶために半年間イタリアを旅して辿り着いた地がプーリア州でした。

― 「まずはフランス料理を学べ」という料理人だった父の教えに従ったフランス料理の修行経験は、神保シェフの創造性にどのような影響を与えていますか?

神保自分が目指す「料理の完成形」に到達するために必要な調理技術です。本日提案するパスタ料理の豚白モツ・サルシッチャをつかった伝統的なオレキエッテのソースを軽やかにするために、ヒヨコ豆をムースにして加えたのも調理技術の1つです。フランス料理の複雑な味の構成を良い意味での足し算と解釈し、自分なりの料理に昇華させています。

― 考案頂いたパスタメニューを紹介ください。

神保今回はプーリア州をテーマとしていますが、その郷土料理を再現したものではありません。プーリア州で食べた料理、野菜の使い方・火の通し方・他の食材との合わせ方を基にしつつも季節感を大切にした日本の食材を活用し、自分のフィルターを通してパスタ料理に落とし込みました。これは「JINBO MINAMI AOYAMA」の料理考案と同じ考え方です。

<神保シェフによるMy Story Pastaのデモンストレーション> ●1品目: 「DE CECCO No.91オレキエッテ 豚モツ サルシッチャ トマト ヒヨコ豆」

サルシッチャを炒め香辛料の香りが出てきたら千切りにした豚白モツを加えて、さらに食材の香りを立たせます。シェフ自ら参加者の席をまわり、ソースの香りを確認いただきました。

パスタは時間ではなく状態を見て茹であげます。パスタ調理はタイミングが仕上がりを左右する工程が多数あり、常にベストなタイミングで調理をすることもシェフの最も重要な仕事の1つです。

オレキエッテ(DE CECCO No.91)をソースと合わせます。神保シェフがプーリア州で食べたトマトソースは、赤パプリカがコクや香りなど味に深みを与えていたとのこと。

ヒヨコ豆をムース状にすることで、旨味のある豚白モツとサルシッチャのトマトソースに軽さを与え、最後に削りかけるレモンの皮の爽やかさは、サルシッチャの香辛料と合わさり複雑みのある味に。

●2品目:「DE CECCO No.12スパゲッティ ブロッコリー 菜の花(チーマ・ディ・ラーパ) アンチョビ 自家製発酵黒ニンニク」

スパゲッティ(DE CECCO No.12)と同じ鍋でブロッコリーと、菜の花の代わりに埼玉から届いたチーマ・ディ・ラーパを茹でスパゲッティに香りを移します。プーリアでは野菜のうまみを最大限に引き出すために、かなりしっかりと火入れをします。

スパゲッティ(DE CECCO No.12)に春の香りをまとわせるように菜の花のペーストを和えます。

アンチョビと自家製発酵黒ニンニクのムースを加えることで、見た目はシンプルながらも香りや旨味が複雑に重なり合います。パスタとムースが混ぜ合わさると、ふわっと春の香りが立ち上がります。

<当日のテイスティングメニュー>

Inizio(イニッツィオ)
「パーネカラサウ フムス」
いずれも自家製。フムスの材料はイタリア産ヒヨコ豆、自家製バター、千葉県産ピーナッツ自家製ペーストです。

Stuzzichino(ストゥッツィキーノ)
「鮑 パルミジャーノ 柚子胡椒」
北海道産蝦夷アワビの肝とパルミジャーノレッジャーノでつくったタルト生地にやわらかく蒸しあげた蝦夷アワビ・自家製柚子胡椒・日本酒のジュレを添えました。
「烏賊 筍 イカ墨」
青森県産白イカと熊本県産たけのこをイカ墨を混ぜた生地で包んで揚げています。

Antipasto(アンティパスト)
「海老芋 車エビ キャビア」
大阪府産海老芋・鹿児島県産天然車エビのテリーヌを石川県能登産ちりめんキャベツで巻き、キャビア・ホワイトバルサミコ・車エビのアメリケーヌソースを添えています。茨城県シモタファームのハーブ、ナスタチウム・ビオラは彩りではなく味に深みを与えます。

「オレキエッテ 豚モツ サルシッチャ トマト ヒヨコ豆」
オレキエッテ(DE CECCO No.91)を使用しました。群馬県太田・加藤さんの豚白モツ・サルシッチャ・トマトソース・ヒヨコ豆とそれぞれの味をしっかりと感じながらも、合わさることで生まれる複雑味がおいしさの奥行きを深めています。

「スパゲッティ ブロッコリー 菜の花 アンチョビ 発酵ニンニク」
しっかりと火入れされた力強い野菜たちは、その味わいを保ちながら香りをまといソースとなってスパゲッティ(DE CECCONo.12)によく絡みます。当日は菜の花の代わりに埼玉県産チーマ・ディ・ラーパを使用。

Dolce(ドルチェ)
「カカオ ヴァローナマンジャリ パンナコッタ 村田さんの苺」
茨城県村田さんのとちおとめをジェラートとパンナコッタにしたヴァローナ製チョコレートのケーキに、冬の森をイメージし凍らせたヨーグルトのムースを雪に見立て削りかけいます。

「なぜDE CECCOをつかうのか」私にはすべての食材に対して確固たる“扱う理由”があります。大切なのは“扱う理由”を前面に打ち出すことではなく、お客様に尋ねられた時にその理由を明確に説明できることだと考えています。料理人である自分が敬意を抱き信頼している生産者の食材だからこそ、自信を持って料理を提供できるのです。

マスタークラス参加者の声

  • 神保シェフの食材(生産者)への思い・考え方・料理の構成など伺い、試食ではなく完成料理をいただくことで深い学びを得ました。自分にとって有意義なセミナーでした。
  • 乾麺の「オレキエッテ」は中心が固いままや茹ですぎてしまうなど扱いが難しいものもあるが「オレキエッテ(DE CECCO No.91)」は茹であがりがよく自分の店でも採用しています。
  • セミナーという料理人同士が交流する機会をいただけてありがたいです。
  • 「DE CECCO」が持つ可能性をもっと知りたいです。

一流の料理人の思考・感性・料理を学ぶこのマスタークラスには、真摯に食材と向き合い至福の料理を創造し続ける食のプロである皆さまだからこそ得られる新たなヒントがあると思います。食のプロが互いを高めあう有意義な知の交流ができる「場」として、『PASTA MASTER CLASS by DE CECCO~My Story Pasta 自分を語るパスタ~』を今後も開催して参ります。

recipe

DE CECCO No.91オレキエッテ
豚モツ サルシッチャ トマト ヒヨコ豆

<材料> 1人前(パスタ以外は仕込み1回分)

●DE CECCO No.91 オレキエッテ
40g
●ペコリーノチーズ、レモンの皮
適量
●A:サルシッチャ
豚肉粗挽き
300g
塩麹
10g
ニンニク(すりおろし)
少々
セージ(みじん切り)
5g
ナツメグ
少々
クローブ
1g
レモンの皮
少々
白コショウ
少々
粗挽き黒コショウ
少々
日本酒 (純米酒)
大さじ1
●B:豚モツ
  • 下処理済 豚白モツ
  • 400g
●C:トマトソース
ホールトマト 400g、ソフリット(※1)  60g、 バジル 1枝
※1 玉ねぎ 1/2個、ニンジン1/3本、太めのセロリ 1/2本、ニンニク 2片、セージ 1本、 ローズマリー 1枝、みじん切りにして、塩 少々、白ワイン 80cc、オリーブ油 ひたひたになるまで、ブロード ひたひたになるまで入れて火にかける。
●D:赤パプリカのピューレ
  • 赤パプリカ
  • 2個
●E:ヒヨコ豆のエスプーマ
ヒヨコ豆ピューレ(※2)、 生クリーム 100ml、 ブロード 100ml、 塩コショウ 少々
※2  ヒヨコ豆 1kg、 ニンニク 1片、 玉ねぎ 1個、  塩 少々 イタリアンパセリの茎 適量

<下準備>

A:サルシッチャ 

全ての材料を肉の食感を残し、粘りが出ないように軽く混ぜ合わせ一晩寝かせる。

B:豚白モツ

下処理をして昆布を加えたクールブイヨンで煮こぼす。

C:トマトソース

全ての材料を一緒にミキサーにかける。

D:赤パプリカのピューレ

オーブンで焼き、皮を剥く。鶏のブイヨンを少し加えてやわらかくなるまで煮込み、ミキサーでピューレにする。

E:ヒヨコ豆のエスプーマ

ヒヨコ豆のピューレを煮込みミキサーにかけて裏ごし、他の材料と合わせエスプーマでムースにする。

<つくり方>

下準備A~Eを終えて、仕上がり量から1人前分を推測し取り分けてソースをつくる。

  1. AとBを鍋に入れてアーリオオーリオ(ニンニクとオリーブ油)で炒める。CとDを加えて乳化させながら火を入れてソースをつくる。
  2. DE CECCO No.91 オレキエッテを茹で 1と和える。
  3. Eを皿に敷いて 2を盛る。
  4. ペコリーノチーズ、レモンの皮を適量かけて仕上げる。
recipe

DE CECCO No.12スパゲッティ
ブロッコリー 菜の花(チーマ・ディ・ラーパ)
アンチョビ 自家製発酵黒ニンニク

<材料> 1人前(ソースは仕込み1回分)

DE CECCO No.12 スパゲッティ
60g
ブロッコリー
60g
A:菜の花ペースト
菜の花20本、 炒り松の実 10g、 ニンニク 少々、 パルミジャーノレッジャーノ 20g、 オリーブ油 30ml
●B:豚モツ
  • 下処理済 豚白モツ
  • 400g
B:アンチョビ・自家製発酵黒ニンニクムース
自家製発酵黒ニンニク 1株、 ニンニク 1株、 牛乳 40ml、 生クリーム(48%)200ml、 生クリーム(32%) 200ml 無塩バター 200g、 グラナパダーノ 50g、 アンチョビ 35g、 燻製ジャガイモ 210g、 オリーブ油 100ml 塩13g
C:ビーツパウダー
  • ビーツ
  • 1個

<下準備>

A:菜の花はボイルし全ての材料をミキサーにかけてペーストにする。

B:ニンニクは牛乳と水で3回炊きこぼす。ジャガイモは蒸して燻製にする。

C:スライスしたビーツを下茹でし、乾燥機にかける。ミルサーでパウダー状にする。

<つくり方>

下準備A~Eを終えて、仕上がり量から1人前分を推測し取り分けてソースをつくる。

  1. ニンニクと燻製ジャガイモを鍋に入れ、48%と32%の生クリーム計400ml、無塩バター、グラナパダーノ、アンチョビ、オリーブ油を加え軽く火にかける。塩で味を調えてミキサーにかけエスプーマのサイフォンでムース状にする。
  2. DE CECCO No.12 スパゲッティと一緒にブロッコリー・菜の花(チーマ・ディ・ラーパ)も茹でる。
  3. 茹で上げた 2 にAを和え皿に盛り付ける。
  4. 1のムースをのせ、ビーツパウダーを振りかける。
使用したパスタはこちら

DE CECCO No.91
オレキエッテ

[Chef’s point]

耳のようなくぼみのある「オレキエッテ」はプーリア州を代表するパスタです。一般的なものより小さめゆえにとても扱いやすいと思います。コシのある食感が特長です。オレキエッテの食感をより楽しむために、豚白モツ、サルシッチャを選び肉の食感を加えました。

DE CECCO No.12
スパゲッティ

[Chef’s point]

イタリアで訪れた店でも太めのパスタがよく使われていました。どちらかというと、しっかりとした噛み心地を楽しめる太めのパスタを好んで使います。DE CECCOの特長の1つであるソースの絡みがよいことで複雑味を感じつつ春の香りをまとったパスタに仕上がりました。

Chef Profile
JINBO MINAMI AOYAMA オーナーシェフ 神保佳永氏

JINBO MINAMI AOYAMA オーナーシェフ 神保 佳永

エコール辻東京卒業。フランス料理の基礎を学び料理の道へ。都内のフランス料理店勤務後、1999年に渡仏・渡伊。各地方のミシュラン星付きレストランで約2年間のヨーロッパ修行。帰国後ホテルの洋食総料理長就任など経験し2010年南青山に野菜を中心としたイタリアン「HATAKE AOYAMA」を立ち上げ取締役総料理長に就任。2022年4月自身の料理を表現するリストランテ「JINBO MINAMI AOYAMA」をオープン。2024年6月には料理監修を務める「CiTRiNO da YOSHINAGA JINBO in Hong Kong」をオープン。日本全国の小学校などで食育シェフとして授業を行い子どもたちに食の環境と魅力を伝え教える活動にも取り組む。

Restaurant Information
JINBO MINAMI AOYAMA

「JINBO MINAMI AOYAMA」

20年以上前から定期的に日本各地の産地へ足を運び「顔の見える関係性を育んでいる生産者」の食材を使用。余すところなく料理に昇華し、お客様に楽しんでいただきたいというシェフの思いからコースメニューのみを提供しています。ミシュランガイド東京2024、2025セレクテッドレストラン。
https://jinbo-ma.jp/

wine
wine
写真左から
FRANCIACORTA
Contadi Castaldi Brut
ROSA SALAE 2023
CAMPANIA ROSATO
INDICAZIONE GEOGRAFICA TIPICA

「豊かな果実味をオレキエッテの料理に合わせるために、温度を高め(赤ワイン提供程度)にしています」

シャトレーゼ ベルフォーレ ワイナリー
勝沼甲州 2023

「シュール・リー製法(発酵、熟成時にオリを取り除かない製法)の甲州ワインを、春を感じさせるスパゲッティの料理に合わせました」(以上JINBO MINAMI AOYAMAソムリエ長坂優也さん談)

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