vol. 4
「701(ナナマルイチ)」 オーナーシェフ 直井一寛氏

日々真摯に食材と向き合い独自のスタイルで美味しさを創造するリーダーシェフの思考・料理・感性から学びを得る、料理のプロフェッショナルに向けたマスタークラス『PASTA MASTER CLASS by DE CECCO~My Story Pasta 自分を語るパスタ~』。
第4回目は産地から取り寄せた旬の食材をふんだんに使い、シンプルな調理ながらも味に奥行きのある料理へと仕立てる「701(ナナマルイチ)」オーナーシェフ 直井一寛氏をリーダーシェフに迎えました。

〜 この記事はこんな方におすすめ 〜

  • DE CECCOの魅力、パスタの可能性を知りたい。
  • 一流の料理人の考え方・感性・調理技術を学びたい。
  • 自身の料理をさらに向上させるヒントを得たい。

― 直井シェフの料理人としての出発点を教えてください。

直井シェフ(以下敬称略 直井)調理師専門学校でイタリア料理を専攻し、1960年創業の名店「レストランCHANTI(キャンティ)」に入社しました。「レストランCHANTI」では日常的にお客様の要望に応じてメニューを変更していました。そこで培われた“対応力”は今なお健在です。「701」はコースのみですが、メニューを道しるべとして一期一会の“あなただけのメニュー”を、お客様と一緒につくり上げられたら嬉しいですね。

― 直井シェフの料理人人生を語る上で、欠くことのできない土地はどこですか?

直井東京とシチリアです。
東京は日本各地そして世界各国の優良な食材が容易に手に入るすごい場所です。料理人として東京を舞台に30年余りにわたり、それらの食材を扱えていることに感謝しつつ日々料理と向き合っています。
そしてかけがえのない方々とのご縁を紡いでくれたのも東京です。飲食業界の先輩、同僚、後輩、店のお客様。出入りの業者さん、生産者さん。皆様とのご縁が私にとって、かけがえのない宝物です。
シンプルな素材を活かし至福の料理へと昇華させる。5年間勤めた「アクアパッツァ」日髙良実シェフから学んだ、この大切な教えを象徴するのが「シチリア」です。
ですから東京とシチリアは両方とも、料理人人生を語るうえで欠かせない土地なのです。

― ご考案頂いたパスタメニューを紹介ください。

直井「レストランCHANTI」の名物パスタ「スパゲティバジリコ」に釜揚げシラスを加えたスパゲッティ。最近日本でも手に入るようになったイタリア野菜「ブロッコリー・フィオラーロ」のカサレッチャ。春を感じる香草と国産リコッタチーズにレモンピールを加えたジータ・タリアータ。そして千葉・千倉漁港から直接仕入れている魚介類のパッケリの4品です。

〈直井シェフによるMy Story Pastaのデモンストレーション〉 ●1品目:釜揚げシラスと大葉のスパゲッティ

オリーブオイルも生バジリコも日本では手に入りづらかった1960年代に「レストランCHANTI」のシェフが苦心してジェノベーゼ風スパゲッティをつくりあげました。サラダオイルとバターはオリーブオイルの代わりです。火を入れすぎないことが最も重要で、10~20秒程度で仕上げます。

火を止めてシラスとパセリ、大葉を加えて一瞬だけ火をつけて和える。パスタを持ち上げるだけで混ざります。ポイントはコショウをきかせること。味に骨格が生まれます。「レストランCHANTI」では「スパゲティバジリコ」が作れてはじめて一人前の料理人として認められました。

●2品目:ブロッコリー・フィオラーロのカサレッチャ カラスミ掛け

草加・チャヴィペルトさんにつくってもらっているヴェネト州の伝統野菜ブロッコリー・フィオラーロは葉を食べる野菜です。乾麺であれば野菜と一緒に茹で味を移します。「マ・マー THE PRO IQFカサレッチャ」は味の濃い野菜に負けないパスタのうまみがあり、ソースが絡みやすい形状なので選びました。パスタはすべて湯に対して1%の塩で茹でます。「マ・マー THE PRO IQFカサレッチャ」の茹で時間は30秒程度です。基本的に料理に塩はしません。ゆで汁を加えるか使用する塩蔵品の塩分で味を決めます。

ブロッコリー・フィオラーロは柔らかく茹でてフォークで潰しながらパスタと絡めます。葉はソースに、茎は具になります。塩味がやさしい佐賀県産のカラスミは東京で出会った食材の1つです。オリーブオイルは油としての用途ではなく、ソース(調味料)として最後に加えます。

ブロッコリー・フィオラーロの緑、カラスミの黄色が、桜の下を埋め尽くす菜の花を連想させる“春告げパスタ”です。

●3品目:リコッタチーズと香草のジータ・タリアータ

これまではペンネリガーテを選びがちでしたが、最近はジータ・タリアータもよく使うようになりました。リコッタチーズは自分でもつくりますが、今回は福岡・オーム乳業の「九州リコッタ」を使用しました。リコッタの水切りで出た乳清はパスタの水分調整にも使えます。

村上農園のマイクロバジルとマイクロセロパセは、小さな姿からは想像できないほど親野菜に劣らぬ豊かな味わいを持っています。さらに、さわやかなミントやセルフィーユ、ディルなど個性の異なる5種類の香草が重なり合い、料理全体をより魅力的に引き立てます。

●4品目:産直の魚介類を活かしたシチリア風パッケリ

魚介類は、漁師さんの水揚げ作業から注視し、魚の取り扱い方や状態を見極めて競り落とす水産卸事業者から直接仕入れています。最良の魚介なので焼き色をつけず油をまとわせる程度の火入れです。酸味で全体の味を引き締めたいので、あえて普通のプチトマトを選びました。唐辛子は辛みを出したければ千切り、味の骨格つくりであれば丸のまま、と目的によって形状を変えます。今回は丸のままです。

パッケリを加えて煮込みますが、30秒で茹で上げたパスタの状態が変わらず良いままなのは驚きです。味に深みを与えるために加えたサフランは、松の実やパン粉と共にアラブの影響を受けたシチリア料理に多くみられます。パン粉は魚介やトマトの旨味たっぷりのソースが染みてパッケリと絡み合い、余すところなく堪能いただけます。

― DE CECCOとの出会いを教えてください。

直井20年ほど前にシェフとして厨房を任されるときに様々なメーカーのパスタを試した結果、私が理想とするパスタ料理を最も的確に表現できるのがDE CECCOのパスタでした。それ以来私にとってパスタ=DE CECCOで、ほぼすべての種類を常備し、食材と最も相性の良いパスタを選びます。「701」ではショートパスタとロングパスタの両方を召し上がっていただくコース構成です。
今回初めて「マ・マー THE PRO IQF」シリーズを使いました。冷凍パスタの使用は考えたことがなかったのですが、仕上がり、味ともに納得のいくパスタでした。通常営業はもちろんですが、特に調理環境が十分ではないイベントでも、クオリティを落とさないパスタの提供ができる。様々な場面で重宝すること間違いなしですね。

― お客様の「おいしい」のために大切にしていることは何ですか?

直井今できる最善を尽くす。そのための努力を惜しまない。
食材の見極めだけではなく、日々のほんの些細なことから全てにおいて「~をしておけばよかった」という後悔を絶対にしないことです。もう一つは自分なりの理由があること。おいしければ何でもあり、ではありません。私だけではなくスタッフにも言えることですが、踏まえるべき基本や伝統を熟知したうえで「なぜそうするのか」。自分が納得し、相手にも理解してもらえる「“おいしい”の理由」があれば、自己流にアレンジしてもよいと考えています。

マスタークラス参加者の声

  • パスタ自体のおいしさは欠くことのできない重要な要素だ、と改めて実感する機会となりました。
  • 食材はシンプルなのにオリーブオイルの「捉え方」など調理技術で味が重なり合い、複雑な旨味を感じました。
  • 直接使う塩は多くないけれど、食べた時にちょうど良い塩味に仕上げるシェフの考え方や技に学びを得ました。

一流の料理人の思考・感性・料理を学ぶこのマスタークラスには、真摯に食材と向き合い至福の料理を創造し続ける食のプロである皆さまだからこそ得られる新たなヒントがあると思います。食のプロが互いを高めあう有意義な知の交流ができる「場」として、『PASTA MASTER CLASS by DE CECCO~My Story Pasta 自分を語るパスタ~』を今後も開催して参ります。

recipe

DE CECCO No.12 スパゲッティ
釜揚げシラスと大葉のスパゲッティ

<材料> 1人前

ディ・チェコ No.12スパゲッティ
70g
釜揚げシラス
30~35g
パセリ
適量
大葉
約1/2束
サラダオイル
25g
バター
5g
ニンニクのみじん切り
適量
乾燥バジル
適量
塩・コショウ
適量
マイクロバジル・紫蘇グリーン(お好みで)
適量

<つくり方>

  1. パセリの葉を枝から外して水洗いし、よく乾かしてみじん切りにしておく。
  2. 大葉を粗めのみじん切りにする。
  3. 湯に対し1%の塩を入れてスパゲッティを茹でる。
  4. フライパンにサラダオイル、バター、ニンニク、乾燥バジリコを入れて火にかけニンニクに火を入れる。
  5. パスタが茹で上がったら4に入れ、釜揚げシラスとコショウを加えて全体を温める。
  6. パセリと大葉を加えたら手早く混ぜ合わせ、味を調えて皿に盛り付け、マイクロハーブをトッピングする。
recipe

マ・マー THE PRO IQF カサレッチャ
ブロッコリー・フィオラーロのカサレッチャ カラスミ掛け

<材料> 2人前

マ・マー THE PRO IQF(バラ凍結)カサレッチャ
200g
ブロッコリー・フィオラーロ
100g
ニンニク(つぶす)
1片
唐辛子(指で砕く)
1個
アンチョビ フィレ
1~2枚
オリーブオイル
適量
カラスミ
適量

<つくり方>

  1. ブロッコリー・フィオラーロは食べやすい大きさに切る。
  2. フライパンにニンニクと唐辛子、オリーブオイルを入れて火にかける。
  3. ニンニクが色づいてきたら隠し味のアンチョビ フィレを入れて潰しながら溶かしこむ。ニンニクは途中で外す。
  4. ブロッコリー・フィオラーロを塩分1%のパスタ鍋で柔らかく茹でて3と合わせる。
  5. ブロッコリー・フィオラーロを潰すように混ぜながら味を調える。
  6. 4の鍋でマ・マー THE PRO IQF カサレッチャを30秒茹でて5に入れ和える。
  7. 皿に盛り付けてカラスミを振り掛ける。
recipe

DE CECCO No.118 ジータ・タリアータ
リコッタチーズと香草のジータ・タリアータ

<材料> 2人前

ディ・チェコ No.118 ジータ・タリアータ
100g
リコッタチーズ
適量
パルミジャーノ・レッジャーノ
適量
オリーブオイル
適量
5種類の香草
・セルフィーユ
適量
・ミント
適量
・ディル
適量
・マイクロバジル
適量
・マイクロセロパセ
適量
レモンの皮
適量

<つくり方>

  1. 湯に対し1%の塩を加え、ジータ・タリアータを茹でる。
  2. 香草は食べやすい大きさにちぎり水を吸わせておく。
  3. ボウル入れたリコッタチーズに1のゆで汁とオリーブオイルを加え適度に伸ばしておく。
  4. 茹で上がったジータ・タリアータを3に入れてよく混ぜ合わせ、パルミジャーノ・レッジャーノを加えて味を調える。
  5. 皿に盛り付け香草をあしらい、レモンの皮を削り掛ける。
recipe

マ・マー THE PRO IQF パッケリ
産直の魚介類を活かしたシチリア風パッケリ

<材料> 2人前

マ・マー THE PRO IQF(バラ凍結)パッケリ
200g
魚介類(千葉・千倉漁港直送 鰆、ホウボウ、麦イカ)
適量
ミニトマト
8個
バジリコ(ちぎる)
4枚
ニンニク(つぶす)
1片
オリーブオイル
適量
唐辛子(丸のまま)
1本
サフラン
適量
松の実
適量
乾煎りしたパン粉
適量

<つくり方>

  1. 魚介類は下処理をして食べやすい大きさにする。
  2. ミニトマトは横半分に切る。
  3. フライパンにオリーブオイルとニンニク、唐辛子を入れて火にかけ、オリーブオイルに香りと辛味が移ったら取り出す。
  4. 3に魚介類とミニトマトを加える。
  5. 魚介類に火が入ってきたらバジリコと松の実、サフランを入れて煮込み、味をなじませる。
  6. 湯に対し1%の塩を加え、パッケリを30秒茹でて5に入れる。
  7. 6を煮詰めながら味を調える。皿に盛り付けてパン粉を振り掛ける。
使用したパスタはこちら

DE CECCO No.12
スパゲッティ

[Chef’s point]

私にとってNo.12スパゲッティが「THE DE CECCO」です。これを軸に食材に合うパスタの太さ(細さ)を検討します。

マ・マー THE PRO
IQF(バラ凍結)
カサレッチャ

[Chef’s point]

パスタの断面がS字状でソースがよく絡みしっかりとした噛み応えがあるので、力強い味わいの食材との相性は抜群です。

DE CECCO No.118
ジータ・タリアータ

[Chef’s point]

食材やソースの味わいを受け止めつつも、パスタの旨味を感じます。ショートパスタの選択肢が豊富なことは強みです。

マ・マー THE PRO
IQF(バラ凍結)
パッケリ

[Chef’s point]

たった30秒でおいしく状態抜群のパッケリが茹で上がるとは驚異的です。ショートパスタをもっと楽しんでいただけます。

Chef Profile
701(ナナマルイチ) オーナーシェフ 直井一寛氏

701(ナナマルイチ) オーナーシェフ 直井一寛

1976年栃木県生まれ。大阪あべの辻調理技術研究所を卒業後、伝説の名店「レストランCHANTI」に約10年勤務。神谷町「La tana di Bacco」にて11年間シェフを務める。青山「アクアパッツァ」で5年間勤務した後、2023年7月御茶ノ水に「701(ナナマルイチ)」をオープン。産地から取り寄せた旬の食材をふんだんに使い、シンプルな調理ながらも「至福の一皿」をお客様に提供している。一般社団法人日本イタリア料理協会 実行委員。

Restaurant Information
701(ナナマルイチ)

「701(ナナマルイチ)」

東京都千代田区外神田2-1-3 東進ビル新館1F
TEL 03(3525)7107
ランチ 11:30~15:00 (L.O.14:00)
ディナー 18:00~22:00 (L.O.20:30)
定休日 月曜日・火曜日
※月曜日が祝日の場合は、火曜日・水曜日

beverage
beverage

シャルドネ100%、瓶内二次発酵でつくられた「Ró METODO CLASSICO amastuola」と、風味を変えずに脱アルコール化する減圧蒸溜法を用いたノンアルコール飲料「Duc de Montagne Brut」(共にスパークリング)が提供されました。

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